南フランスを旅していて、街に入った瞬間に「ここは少し空気が違う」と感じたのが、**エクス=アン=プロヴァンス(Aix-en-Provence)**でした。
現地では「Aix(エクス)」と呼ばれることも多い街です。
石造りの建物、プラタナス並木、街角の噴水、カフェのテラス、そして色鮮やかなマルシェ。
華やかだけれど派手すぎず、古いものを大切にしながら今の暮らしが自然に重なっている。そんな上品さを感じる街です。
今回は観光コースではなく、**「そもそもエクス=アン=プロヴァンスってどんな街?」**をテーマに、歴史や街の大きさ、人口、有名な場所、観光の魅力、お土産、そして建築やインテリアの視点から感じた街の魅力までまとめます。

エクス=アン=プロヴァンスはどこにある?
エクス=アン=プロヴァンスは、フランス南東部、プロヴァンス地方にある都市です。
大都市マルセイユの北側に位置しながら、港町マルセイユとは街の表情がかなり違います。
マルセイユが海と港の活気を感じる街なら、エクスは歴史、芸術、大学、マルシェ、カフェ文化が日常の中に溶け込んだ街という印象でした。
画家ポール・セザンヌが生まれ育った街としても世界的に知られています。
エクス=アン=プロヴァンスの歴史|始まりは紀元前122年
エクスの歴史はとても古く、本格的な都市の始まりは紀元前122年までさかのぼります。
ローマ人が温泉や湧水のあるこの地に拠点を築き、**Aquae Sextiae(アクアエ・セクスティアエ)**と名付けました。
「Aquae」は水を意味し、この土地に豊かな水があったことが街の成り立ちに深く関係しています。
その後、中世にはプロヴァンス伯の居住地となり、政治・商業・文化の中心として発展。1409年には大学も設立されました。
17世紀には貴族や司法関係者などの邸宅が建てられ、現在も残る美しい街並みの基礎がつくられていきます。
つまりエクスは、単に「南フランスらしいかわいい街」なのではなく、約2,000年の歴史が今の街並みに重なっている都市なのです。
なぜエクスには噴水が多いの?
実際に歩いていて特に印象に残ったのが、街のあちこちにある噴水です。
これは単なる装飾ではなく、エクスが温泉や湧水とともに発展してきた歴史とつながっています。
古代ローマ時代には温泉都市として発展し、その「水の街」としての歴史が、現在の街の景観にも受け継がれています。
歴史を知ってから噴水を見ると、同じ景色が少し違って見えてきます。

人口は約15万人|どのくらいの大きさの街?
フランス国立統計経済研究所(INSEE)の2023年人口データでは、エクス=アン=プロヴァンス市の人口は149,695人、約15万人です。
日本でいえば、東京や大阪のような大都市ではなく、10万人台の地方都市くらいの規模です。観光の中心となる旧市街はさらにコンパクトで、歩いて街を楽しめます。
約15万人が暮らす都市でありながら、旅行者にとっては歩いて街を楽しみやすい。この「都市としての規模」と「旧市街の歩きやすさ」の両方を持っていることも、エクスの魅力のひとつです。
さらにエクスには約4万人の学生がいると観光局が紹介しており、歴史ある街でありながら若い人の姿も多く、街に活気があります。
エクス=アン=プロヴァンスの有名な場所
ミラボー通り(Cours Mirabeau)
エクスを代表する大通り。
プラタナスの並木、噴水、カフェ、歴史ある建物が並び、「エクスらしさ」を一度に感じられる場所です。
旧市街
細い路地や小さな広場、石造りの建物、カフェやショップが続きます。
目的地だけを見るより、少し路地に入って歩くことそのものが楽しいエリアでした。
サン・ソヴール大聖堂
長い歴史の中で異なる時代の建築様式が重なってきた、エクスを代表する宗教建築のひとつです。
セザンヌゆかりの場所
エクスはポール・セザンヌの故郷です。
街にはセザンヌゆかりの場所をたどる散策ルートがあり、郊外には彼が繰り返し描いたサント・ヴィクトワール山があります。
マルシェ
野菜や果物、花、チーズ、オリーブなどが並ぶプロヴァンスのマルシェも、エクスの大きな魅力です。
観光地を見るだけでは分からない「この街で暮らす人の日常」が見えるので、私は旅先のマルシェが大好きです。
エクスの観光資源は「街そのもの」
エクスの魅力は、大きな観光施設を一つずつ巡ることだけではないと思います。
歴史ある街並み、噴水、芸術、マルシェ、カフェ、食、ショッピング、そして周囲の自然。
これらが徒歩圏の中で自然につながっています。
セザンヌという世界的な芸術家の足跡、サント・ヴィクトワール山、歴史的建築、音楽や文化、プロヴァンスの食文化など、観光の入口が一つではありません。
「名所を何か所見たか」よりも、街を歩いて過ごした時間そのものが思い出になる。エクスはそんな旅が似合う街だと思います。
エクスで探したいお土産
エクスらしいお土産として有名なのが**カリソン(Calisson)**です。
アーモンドと砂糖漬けの果物などを使った伝統菓子で、エクスを代表する味のひとつ。15世紀から続く名物として知られ、箱入りなら旅のお土産にも選びやすいと思います。
ほかにも、プロヴァンスらしいものを探すなら、マルシェや専門店で見かける石けん、ラベンダーを使った雑貨、ハーブ類、オリーブ関連の商品、陶器や布製品なども候補になります。
私は「その街で実際に使われているもの」を見るのが好きなので、観光客向けのお土産店だけでなく、マルシェや街中のショップを見る時間もおすすめです。
建築・インテリアの視点から見るエクス
ここは私が特に好きなところです。
エクスの街を歩いていると、建物単体の豪華さよりも、建築・色・素材・植栽・家具・街路が一緒になって街の雰囲気をつくっていることに目が向きます。
17世紀以降に発展したマザラン地区などには、貴族や富裕層が建てた「オテル・パルティキュリエ」と呼ばれる都市邸宅が数多く残っています。観光局によれば、エクスにはこうした邸宅が約150棟あり、フランスでも特に集中している街です。
石の外壁、彫刻のある重厚な扉、縦長の窓、アイアンワーク、年月を重ねた木製建具。
そこにカフェの椅子やテーブル、プランター、街路樹が加わります。
新しいものですべてを揃えるのではなく、古い建物を残しながら、現代の暮らしに合わせて使い続ける。
この考え方は、住宅やインテリアを考える上でもとても興味深いものでした。
私が実際に街を歩いて印象に残ったのは、ベージュ系の石や壁、自然素材を感じる質感、強い日差しがつくる光と影、そして建物に添えられたグリーンの使い方でした。
「南フランス風のインテリア」という表面的なスタイルだけではなく、その土地の気候や歴史、素材が長い時間をかけてデザインをつくっていることが、エクスを歩くとよく分かります。


50代からの大人旅にエクスをおすすめしたい理由
エクスは、朝から晩まで予定を詰め込まなくても楽しめる街でした。
マルシェを歩く。
カフェで休む。
噴水を見る。
歴史ある建物を眺める。
気になる路地へ入ってみる。
そんな過ごし方だけでも、十分に旅をした気持ちになれます。
50代からの旅では、たくさん回ることよりも、その街をゆっくり感じる時間も大切にしたい。
エクス=アン=プロヴァンスは、そんな大人旅にとても似合う街でした。
次の記事では、私たちが実際に歩いたエクス=アン=プロヴァンスの半日観光コースを、写真とともに詳しくご紹介します。
Love Trip Diary
50代から楽しむ、ゆったり心地よい海外・国内の大人旅。
実際に旅した場所を中心に、観光ルート、ホテル、食事、お土産、旅で感じたことなどをご紹介しています。
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※人口などの統計情報はフランス国立統計経済研究所(INSEE)、歴史・文化・観光に関する基本情報はエクス=アン=プロヴァンス観光局の公開情報を確認したうえで、実際に旅した体験と感想を交えて独自にまとめています。

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